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08.05
Fri
諸々に罵倒もありました公演でしたが、
思いがけず記事に書いていただいていたようで大感謝。
暗がりでしたのでさすがに一切の写真も映像記録もないのがまた貴重で始原的かもね。
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04.01
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日時:2016年3月27日(日)
会場:明大前キッド・アイラック・アート・ホール1F
出演:
【1幕目】17:00〜
田山メイ子(舞踏)× 吉本裕美子(ギター)
田村のん(舞踏)× 本田ヨシ子(声)
【2幕目】19:30〜
今野眞弓(舞踏)× ノブナガケン(音)
横滑ナナ(舞踏)× 本田ヨシ子(声)

明大前キッドにて、田山メイ子さんが主催する舞踏家と音楽家の即興セッション『Lady Bird 天道虫 Lady Bug』の第二弾が開かれました。田山さんと親交の深い木村由さんが先行した音と身体の即興セッションというスタイルは、音楽ではお馴染みのものでも、ダンスや舞踏の場合、これまでそれ相応の規模でおこなわれるべきものと思われてきた作品制作より、心理的にも経済的にもハードルの低いステージを可能にしてきました。日常的におこなわれる即興セッションは、仲間内の交流にとどまるケースも多々あり、功罪は両面あるように思われますが、公演数が極端に低い舞踏の場合、現場の経験を積むことによってしか達成されない身体の自己確立といったものに向かう積極性を鼓舞する点で、功の側面がはるかに大きいと思います。即興ダンスができるかできないかというようなことは、それを技術としか思っていないために起こる躊躇の感情で、他者の視線にさらされる現場に変わりはなくても、自分の、あるいは身体表現の可能性を開くためにするものと、とりあえずはざっくり考えておいてよいのではないかと思います。

今回、4つのデュオでプログラムを組んだ田山さんの意図は、即興演奏家──とりわけヴォイスの本田ヨシ子さん──を他の女性舞踏家と出会わせるところにあり、プログラムはいずれも初顔合わせとなりました。前後半で二度出演することになった本田さんは、田村のんさんとの共演では、床に座ってエレクトロニクスを使いながら拡張されたヴォイス演奏をし、横滑ナナさんとの共演では、上手の椅子に座って地声で歌い、身ぶり手ぶりを加え、さらには会場を一周するという対照的な演奏をされました。4つのセッションがそれぞれに特色のあるものとなったのは、ミュージシャンやダンサーの個性の相違はもちろんのこと、照明を担当された早川誠司さんの演出にも多くを負っていたように思います。持ち時間は各組40分。いずれもゆっくりとした動きを構成する静かな舞踏の会でしたが、神は細部に宿り、4人の女性舞踏家がそれぞれに固有の質感を際立たせて競いあう内容は、他では見ることのできないものでした。

プログラムのトップは、ステージ中央に立ってギターを弾く吉本裕美子さんに対し、ジーパンに茶色のTシャツというカジュアルな衣装を身に着け、吉本さん愛用の帽子によく似た帽子をかぶった田山さんが、演奏者の周囲をいくつかの形を作りながら一周、最後に出発点へと戻っていくパフォーマンスでした。音楽にではなく、演奏者の身体に対するアプローチといえる関係の作り方でしたが、公演前半、四角いスポットのなか、わずかな動きをくりだしつつも上手の壁前に座りつづけたダンサーが、動きへと決壊していく瞬間が印象的でした。公演の全体を通して、出演者の誰もが、自己を主張することでセッションをリードするような態度をとることなく、舞踏家が演奏家の身体に接近するというクライマックスをパフォーマンスのどこかに作りながら(これに身体的に反応したり応対した演奏家はいませんでした)、響きや動きを、皮膚を触れあわせるようにして接近させていく過程がたどられたように思います。初共演ならでは、女性ならではの触覚的なセンスが前面化したセッションでした。

水槽のなかのように青一色となった会場。上手端の床のうえに本田ヨシ子さんが着座すると、花嫁のようにヴェールをかぶった田村のんさんが、出入口の扉から背中向きで入ってきました。黒いワンピースの衣装に白塗りをした田村さんは、天井を仰ぐようにして身体を大きくのけぞり、ヴェールを床のうえに落とすと、壁際まで後退して赤くなった照明を真正面から見据え、つま先立って両手を前でクロスさせたり、壁にもたれかかって左足を少しあげたりしました。上手下手の床からくる強い光には、喜びの表情を作りながら床のうえに頬をつけ、尻をあげ気味にして身体を丸くするという具合。床にうつ伏せになる姿勢は4人のダンサーが共通してとった形のひとつで、器械体操のように脚をあげる田山さん、顔に豊かな表情が出る田村さん、これ以上なく床に沈みこむ今野さん、石のように身体を丸める横滑さんと、独舞ではなかなか感じることのできない触覚の特異性が大きく出る場面になりました。ただ一人、仰向きになることで自由になる手足を動かして形を作ったのは横滑さんだけでした。田村さんのみせる表情の変化、特にその視線には動物的な感覚があり、喜怒哀楽の感情もほぼ裸、かもしだされるエロチシズムにも凄みがありました。最後は再びヴェールをかぶって扉口から退出していくという幕切れ。

開演前の時間帯、下手に背中向きで立った今野眞弓さんは、北辰舞踏派の大竹宥煕さんから背中にト音記号のような字を揮毫してもらい、いつもとはまったく雰囲気の違う即興セッションに挑戦されました。お相手の演奏家はダンスとの共演で百戦錬磨のノブナガケンさん。ダンサーが油断すれば、音による演出に簡単に巻きこまれて踊らされてしまいますが、今野さんもそこはしたたかに、低く、低く身体を構えて床との対話に集中しつつ、観客や共演者との身体的な距離を測っていくという舞踏をされました。観客席前での往復運動、うつ伏せになって静止した状態から身体を起こし、動物のように這いながら演奏家へ接近、下手の壁前で立つとともにコーナーを歩きつくし、会場を一周したところで壁へと直進、最後の最後で彼女のトレードマークになっている足踏みがあらわれました。最初の場面で沈黙を守り、共演者の様子をうかがっていたノブナガさんは、この間にフレームドラムからウクレレへ、さらにハーモニカへと楽器を持ち替えて音を出し、今野さんの足踏みとハーモニカがアンサンブルした瞬間に暗転となりました。初共演というには、見事すぎる幕切れだったと思います。

漆黒の闇のなかからぼんやりと浮かびあがる横滑ナナさんの顔と上半身。下手の床からやってくる暗い光が上手の天井付近も照らし出し、セッションの雰囲気はがらりと変化しました。そのすぐ横、上手側の椅子に座り、あれこれと手のしぐさをしながら生の声を発する本田ヨシ子さん。音楽よりもダンスに近い声のありようは、これまでの試行の積み重ねによるもので、彼女の新境地といえましょうか。紫のロングドレスを着た横滑さんは、目のあたりに赤い紅をはいた白塗り姿、春を愛でて髪に挿した桜が、クチナシの花を飾ったビリー・ホリデイを連想させるドラマチックな装いで、ときに幼女に見まがう幻想性をたたえていました。それとは対照的に、特定できるような意味を明示しない、まるでなにごとかを言いさしたまま次にいくような曖昧な動きの連なりは、言外にある身体の存在を強く意識させるもので、大きな変化をみせた昨年の『狂私曲』(11月21日)公演から、今年の6月に予定されている『ゆふつづ抄』公演へと展開される(であろう)舞踏の内実を示すもののように感じられました。キッドは今年いっぱいで閉業となりますが、緊張とリラックスが適度にバランスした本シリーズは、どこかに会場を移してぜひとも継続してもらいたい舞踏プロジェクトです。■

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